2013年12月31日火曜日

秋学期の授業の振り返り(四半期科目)


■マーケティング
授業のコンセプト自体は面白かった。定番の4Pや5Cの他、client lifetime value (CLV) analysts,  client cannivalisation analysis, margin analysis といった定量的なマーケティング分析の手法を講義で学び、ケースディスカッションで実際に分析方法を実践した。学んだ分析手法自体は非常にシンプルなものだが、実際にビジネスの現場ですぐにでも使えそうなコンセプトで、納得感のある内容だった。個人的には右脳先行型のイメージが強いマーケティングだが、この授業ではアナリティカルな点が強調されており、ウォートンらしいなという印象を持った。

なお担当した教授はHBSから新しく来た人で、上手いケースの仕切りを期待したが、むしろひどいクオリティだった。根本的なビジネスの知識・経験も無く、質問に対する返答も幼稚でクラスメートの失笑を買っていた。その点は大変残念。

授業の他には、ラーニングチームとともにケースの分析を行い、ペーパーを書く課題が2本与えられた。チームメイトと長時間に亘って議論する機会があり、今振り返ると良い英語ディスカッションの練習の場となっていたし、またチームメイトの事をよく知る機会でもあった。

自分の貢献がしやすい数字の分析に力を入れ、チームメイトからも相応の評価を得ることができたと思うが、一方でペーパーの方向性を大きく決めるような骨太な議論を展開することは出来ず反省点も多かった。自分なりの答えを持たずに他のメンバーと話す中で結論を見出そうとしたのが良くなかったと思う。スピードの早い議論に途中からついて行けなくなり、他のメンバーの議論のサポート役に徹することになってしまった。もっと頭を使って準備をすれば周りを説得するいいロジックが展開できたかと思う。

ただ英語力、特にリスニング力の不足も同じように問題だった。誰もが納得する議論を展開できればそれはそれですごいのだが、チームで作業する以上、チームの意見を取り入れることも必要だし、そうすることでより良いアイディアが生まれてくる。また、他の授業の課題にも追われ圧倒的に時間が足りない中で、欠点のない分析を行うことは到底不可能だ。その意味では事前準備の重要性は感じつつも、ディスカッションの中で柔軟に周囲のアイディアを取り入れ更に自分の議論を発展させる英語力、特に相手が何を考えているかをしっかりと理解するためのリスニング力の強化は必須だと感じた。


■オペレーション
非常に実用性の高い科目。製造業のお客さんと工場経営の話をするのに使えそうなコンセプト、業種に限らず投資先のお客さんに事業のアドバイスをする際に使えそうな知識が多く、個人的には目を見開かされるような授業だった。

授業のフォーマットはマーケティングと同じく講義とケースのミックスだが、 グループワークが無く課題は全て計算問題だった。問題は解けるようになったが、イマイチちゃんと身に着いたような気がしないのが残念だ(自分の吸収の悪さもあるかもしれないが)。もう少し実際のビジネスのコンテクストで実践する機会があればなお良い授業だったと思う。

ちなみに、授業中はトヨタ生産方式がオペレーションの理想形として何度も言及されていたのは非常に印象的だった。トヨタの、現場の取り組みを理論として昇華させた点は非常に素晴らしいと思う。教授やMBA生が模範として学ぶような完璧なコンセプトを一企業が作り出したという点は本当に賞賛に値すると思った。

■コミュニケーション
7人ほどの少人数のクラスで、毎回1から5分のスピーチを全員が行う。自分はノンネイティブ用の授業を取った。ノンネイティブとはいえ、みな当然のようにスピーチは上手い。ただやはりノンネイティブ同士通じ合う悩み等もありとてもリラックスできる授業だった。

毎回スピーチを行った後にはクラスメートや先生及びTAからフィードバックが与えられる。自分の場合は、声の張りが足りないとか、イントロと結論部分で要旨を繰り返し説明した方が聞き手に内容を思い出してもらいやすい、などの実践的なフィードバックをもらった。

スピーチがうまくなりたいならとにかく練習するしかないとのこと。時間がないことを言い訳に、授業の直前にスピーチ原稿を書き上げるなど「効率的に」準備してしまった反省があるので、春学期で取るスピーチの授業では家で二三回きちんと準備することを自分への課題としたい。

秋学期の授業の振り返り(通期科目)


■統計
非常に苦しめられた授業。最近流行りのビックデータの解析など、統計がビジネスに役立つ知識・スキルことは間違いないと思うが、 授業自体がつまらなく、そして難解だった。MBAまで来て、クラスメートの半数が内職するか、スマホでチャットしている光景を見るのは残念という他は無い。先生によっては面白いと言っている他のクラスターの友人もいたので、自分のクラスは不運だったなぁ。

あまりのつまらなさに、中間試験の際は前日まであまり勉強をせずにいたため、爆死しかけた。前日に日本人同期にレクチャーしてもらいなんとか首の皮一枚で繋がり、後半はその反省からきちんと予習復習をするように心がけたため、恥ずかしいレベルの話だが、ペナルティのあるLT(下位10%)は最終的に余裕を持って逃れることができた。

なおつまらないつまらないと連呼したものの、統計の重要性は理解しているつもり。。もし興味のある分野(例えば、MBAとは関係ないが開発経済等)のデータ解析の授業があれば今後履修こともあるかもしれない。


■ファイナンス
統計と同様、授業初日の教授の様子を見てがっかりした授業。ただ、ファイナンスを面白く教えるのは難しいだろうし、そんなもんかなぁとも思う。
ちなみに担当教授は超定番教科書の著者の一人で有名人。

カリキュラム自体は、さすがウォートン!と感心するぐらいよく出来ていて、課題として与えられる問題を毎週のように解くことでよく身についたという実感がある。ケースもなかなか本格的にバリュエーションをさせる課題が出て、入門編の授業とは言え、テストも含めレベルが高かった。それでいてテストの平均点は非常に高く、ウォートン生の金融リテラシーの高さを実感。

ただやはり教授のレクチャーはあまり良くないので、まったく事前知識が無い人にとってはサバイブするのはややきつい授業だと思った。自分にとっては、ほぼ独学で学んだ知識を、一流とされる教授の講義でブラッシュアップする場としてはまあ良かったかなとは思う。


■ミクロ経済
授業自体はまあまあ面白いなと思ったが、学びの量・質については微妙。いつか勉強して良かったと思う日が来るのだろうか。

内容自体はごくごくスタンダードなMBAの授業だと思う。スタンフォードの授業を基にしたミクロ経済の教科書も別途軽く読んでみたことがあるが、それと比較しても、自分のとった授業の方がもう少し面白い実社会の事例が扱われているような気がしているので、よくできている方でなかろうか。(少なくとも学部時代に意味不明すぎて気を失った授業と比べればとても面白い授業だった!)

与えられる課題が暴力的にヘビーなのは辛かったが、皆がしているように、周りの”協力”を得ながら乗り切った。最終的にAのグレードを得たことは、他の試験で悪い点数を取っていた自分に取り自信の源にもなった。


■マネジメント
ウォートンの一年目を代表する授業だと思う。三人の人気教授が、ストラテジー、ヒューマンキャピタル、グローバル の三つのテーマを扱った。

ストラテジーのモジュールではHBS風の鬼のコールドコールがなされるため、大量のリーディングだったが必死に予習をした。 大変だったが緊張感のあるいい授業だった。

ヒューマンキャピタルは、マネジメント経験のまだ無い自分としては実感が持ちづらいテーマではあるが、教授の授業の進め方がとてもうまく、またゲストスピーカーが超豪華でとても印象に残る授業の一つとなった。ゲストスピーカーはJohnson&JohnsonとTravelers Groupの社長がそれぞれこの授業のためだけに来てくれ、ウォートンのネットワークの強さを改めて実感する機会にもなった。

グローバルは、教授のスタイルが異なるため、他のモジュールよりも発言する機会は減ったが、ケース自体は面白かった。ただしコールドコールが無く一般常識でも話せそうなテーマが多かったので、予習はうまく手を抜いた。

他の授業でもそうだったが、学期の前半はテストや課題に対する考え方が甘く真剣に取り組まなかったこと、そして慣れない生活の中でタイムマネジメントがうまくいかなかったことから、一番最初のペーパーでは手を抜いてしまい、とんでもなく悪い点数をもらった。ディスカッションがグレードの相当割合を占める授業で、ノンネイティブとしてペーパーで悪い点数を取るのは致命的であり大変焦ったが、残り二回のペーパーで奇跡的に取り返すことができ、いい教訓となった。

2013年12月1日日曜日

Thanksgiving を終えて

Whartonでのこれまでの秋学期は、我々一年生を異常なまでに忙しくさせるような設計だったのに、この度のThanksgivingには、拍子抜けするほど長い休みが与えられた。

先週金曜から日曜日までの計10日間。この長い休みを利用して、アリゾナ州セドナを拠点に、アンテロープキャニオン、モニュメントバレー、グランドキャニオンといった国立公園巡りをしてきた。レンタカーの助手席に座る妻は専ら寝る専門ではあったが、フィリーに来てから本当に久しぶりに、二人っきりで心身ともにゆっくりする時間が持てて良かった。

翻って、明日から再び授業がスタート。最近はあまり英語もしゃべってないし、休みボケがきつそうだ。二週間もしないうちに期末試験も始まるし、気を引き締めていかなくてはいけない。
さてまずは、本来この週末で最低限終わらせようと思っていた課題二つをやっつけてから寝ますか。。。